省エネ・節電ポータル

省エネ支援現場レポート

支援レポート Vol.14

  • 省エネ診断
  • プラスチック製品製造業

山形化成工業株式会社

発泡スチロール成形品の企画開発・生産と販売、
廃棄物のリサイクルまで
平成23年度に続く2度目の受診で省エネのステップアップを

山形化成工業株式会社(山形県・発泡スチロール成形加工販売等)

山形化成工業の操業は昭和41年。授業員34名の小規模企業ですが、発泡スチロール成形加工品である各種容器、緩衝材等を製造・販売するとともに、産業廃棄物の収集運搬業、中間処理業も手掛けており、東北地区の中心的な発泡スチロールリサイクル拠点として活動しています。

受診までの経緯

1度目の省エネ診断の提案案件は既に実施済み
全工程を通じた省エネ診断を希望

山形化成工業は「地球環境の保全に配慮して行動していく」という理念を掲げ、省エネ・省資源の取り組みを進めており、平成20年度に「山形県環境保全推進賞」を受賞し、平成24年にはエコアクション21の認証を取得しています。省エネという視点では、平成23年度に省エネ診断を受診し、提案に基づき、空調設定温度の緩和、照明の間引きや高効率化、デマンド監視装置の導入、ボイラ空気比の適正化や高効率照明への更新、ポンプのインバータ化等の運用改善/設備改善などを実施してきました。今回、省エネの更なるステップアップを目指し、省エネ診断を再受診しました。

診断結果と専門家からの提案

プロの目で更なる改善点を発掘

今回の診断では、空調用室外機の汚れや旧型の自販機設置などの細かいロスの対策や、ブロー用ノズルの小径化など、4件の運用改善、6件の投資改善案が提案されました。

提案施策一覧

NO提案内容
1運用改善空調設備室外機のフィン清掃
2運用改善エア配管エア配管の漏れ防止
3運用改善自販機省エネ型自販機への更新
4運用改善デマンド管理デマンド監視装置の活用
5投資改善エア機器空冷ブロー用ノズルの小径化
6投資改善蒸気配管蒸気配管系の保温対策強化
7投資改善ボイラ高効率ボイラへの更新
8投資改善工業炉、生産設備乾燥機と押出機の保温対策強化
9投資改善生産設備真空ポンプのインバータ制御化
10投資改善変圧器変圧器の更新

分散設置の室外機ファンの定期的な清掃を

空調機は事務室等に7台が分散設置されており、室外機の熱交換用フィンに汚れが散見されました。フィンを定期的に清掃することで冷暖房の空調効率が改善できます。
また飲料用自販機は、最新の省エネ型は消費電力量が半減しており、機器設置者と機器更新を交渉することで省エネが実現できます。

リークテスタでの漏れ発見と水切り用エアノズル小径化で電力節減

エア配管からのエア漏れは、漏れ箇所の特定や漏れ量の把握が難しいものですが、一般的な漏れ率10%のうち80%の漏れを減らすことによって、年間8万円の電気代削減と試算されました。
また、成形機で使用している水切り用エアノズル170個を口径φ4からφ2に小径化することでエア消費量が削減できます。

電力使用状況の“見える化”と電力監視装置の活用が節電に繋がる

モニタ付きデマンド監視装置が設置されていますが、この活用が十分ではなかったようです。最大電力を常時観察し、上限設定値に近づいた場合にあらかじめ設定した機器(生産設備や空調機)の運転を停止することで最大需要電力が抑制できます。さらに、季節変化などを織り込み、月別に最大電力目標値を設定すれば、年間を通じた電力使用量の削減にもつながります。

高効率ボイラへの更新と蒸気配管系の保温対策強化

工場内の成形機や発泡装置等へ蒸気を供給している2台の炉筒煙管ボイラは設置後25年以上を経過しており効率が悪化しています。効率の良い小型貫流ボイラに更新することで燃料消費量の削減が見込めます。また、蒸気配管やバルブ等の保温対策強化も直ちに実施できる省エネです。

過剰な真空度の緩和をインバータ化で制御

真空ポンプの真空度は、必要圧力に比べ過剰な真空状態でした。インバータ制御化することによって必要圧力を緩和し、電力消費量の削減を図ることが可能です。

取り組みの成果とこれから

前回受診時の提案は運用改善・投資改善ともほぼ実施済み

前回の省エネ診断では、ボイラ空気比の適正化や高効率照明への更新、ポンプのインバータ化等の運用改善/設備改善などが提案され、これらの対策は運用改善・投資改善共にほぼ実施済みです。

すぐにできる空気漏れ対策と熱放散対策を実施

空気漏れについては、リークテスタで調査を実施し、漏れ箇所は補修済みです。

蒸気配管系の保温については、サーモビュアで温度を測り、フランジ露出部からの放熱量が多いことが判明しました。そこで汎用の断熱材を購入し、亀甲網で固定する断熱施工を自分たちで行いました。放熱量は大幅に低減し、市販の断熱材を使った「省エネDIY」により投資回収は0.6年という短さです。

東北地区省エネ事例発表大会で成果を発表。

根付いてきた従業員の省エネ意識

今回提案の残りの案件についても、投資対効果を勘案しつつ、順次計画を立てて実施予定といいます。また、「改善提案を実施に移していく作業を通じて、従業員の省エネ意識がさらに根付いてきました。不要電灯の小まめな消灯の習慣化や、現場からの省エネ提案が増えるなど、実績が見えています」と語ってくれました。
山形化成工業様は、平成29年度の「省エネルギーセミナー in 東北」で省エネへの取り組み事例を発表するなど「環境に配慮した国内循環型社会への貢献を目指す企業」として、積極的な活動を展開されています。